Ⅱ.総合商社の存在意義

総合商社は実態が見えづらい企業だといわれている。その理由の一つは、時代によって役割を変えてきた企業であるということだ。ただ事業内容を眺めてもなかなか全体像はつかめない。以下では、戦後から現在まで、商社がどのような役割をはたしていたのか俯瞰することにより、商社の本質的役割をつかむ。

~1950 終戦後、日本は「貿易立国」となることを宣言し、輸出所得控除制度、輸出金融優遇制度、輸出保険制度などの輸出奨励策が次々と実施された。実質的な支配者はGHQだった。50年には朝鮮戦争が勃発し、米軍特需により日本経済は「朝鮮戦争ブーム」に湧き立った。ただ、それは一過性のもので、その後商品相場は暴落し、不況に陥った。 GHQ支配のもとで、商社には大きな試練が与えられた。1947年に三菱商事と三井物産に解散命令が下されたのだ。伊藤忠と丸紅系だった大建産業も財閥解体の対象とされ、伊藤忠商事、丸紅、呉羽紡績、尼崎製釘所の四社に分割された。しかし、商社は日本の輸出振興のためには欠かせないものだという認識が広まり、52年の吉田内閣のもとで日本政府による商社の支援と強化策が打ち出された。輸入については外貨不足が原因で実質的には政府の管理下に置かれていた。商社の集中統合もこの時期に進んだ。54年には三菱商事が復活し、59年には三井物産が大合同を果たした。さらに、日綿実業と丸永、伊藤忠と太洋物産、東洋綿花と鐘紡商事、丸紅と高島屋飯田などの合併が相次いだ。住友商事は最後発の総合商社として52年に発足した。
~1960 1950年代後半から70年代初めにかけては日本経済が年平均10%に達する高度成長を続けた時期であり、この間日本の輸出は猛スピードで増大した。 商社はこの高度成長期においては、まず設備機械の輸入と技術の導入で大きな役割を果たした。商社は海外有力メーカーの販売代理権を取得した。彼らのニーズを即座に対応するため、商社は海外情報の収集能力を強化した。大手商社は各々100か所に及ぶ海外店舗網を持った。さらに技術の専門家の増強を行ってサービス機能の向上に努めることにより、機械設備の輸入からファイナンス、技術導入交渉、契約の取りまとめまで広範な商社機能を発揮した。
~1970 71年にニクソンショックが起こり、日本を含む先進各国はドルの切り下げを迫られた。73年には円高ドル安、経常黒字、金融緩和によって大量の流動性が発生し、国内に投資ブームが起こった。このときは、多くの企業が土地投機に浮かされていた。同じころ、世界的に一次産品市況が急騰し、日本でも木材、羊毛などの生活関連輸入品が以上に値上がりした。73年にはオイルショックが起きて日本経済が狂乱物価に巻き込まれ、さらに事態が悪化した。 1971年後半に商社への社会的批判が起こった。内容は、大手商社や銀行の討議筋が大量のドルを売りまくって大儲けしたというものだ。しかし、商社は大型プラント輸出に注力していたため、長期払い債権の目減りで巨額の為替損失を出していたので、この批判は当たっていない。73年にはオイルショックに乗じて商社が買い占め、売り惜しみをしているという批判も起きた。74年には六大商社の首脳が国会に呼ばれ、攻撃を受けた。商社の反省点としては、
・商社の影響力が日本経済を揺り動かすほどの大きさになったことに対する自覚の不足
・企業行動の適切さの欠如
・一般社会に対する商社理解を促進する努力の不足
などが指摘されている。
~1980 1980年代前半はオイルショックの後遺症で、欧米先進国経済が低成長に移行した時期でもある。こうした中で続いていたドルの過大評価に対して85年にプラザ合意がなされ、その結果大幅な円高が起こった。日本はこの円高ショックで景気が悪化したが、86年以降金利が引き下げられ、バブル経済の時代に入った。 経済の構造変化の中で、商社は「冬の時代」を迎えた。原因は主に三つある。 
・繊維・木材などの商品相場の低迷、鉄鋼・原油の国内取引停滞による基礎的収益力低下
・重厚長大から軽薄短小へという構造変化への対応の遅れ
・次世代の成長分野である先端ハイテク分野への出遅れ
しかしその後、86年を底に景気が回復し、商社の冬の時代は話題に上らなくなった。
1990 1980年代後半の日本経済はバブル状態となり、インフレ懸念から89年より公定歩合が引き上げられて金融は引き締め期に入った。このため国内景気は急速に悪化し、日本経済の閉塞感は強まった。 商社は不良債権の処理を余議なくされ、収益の圧迫要因となった。しかし一方で商社は内外の環境変化に対応しながら新たな発展への布石を打つなど経営構造改革に取り組んでいる。大手商社に共通する主要課題は、低成長下でも企業収益を確保できる「収益体質の改革」、情報化・グローバル化に対応した「経営システムの確立」と「商社機能の高度化」である。このため、各社は重点戦略分野への経営資源の傾斜配分、事業投資による事業収益の拡大、各市場ごとの独立採算経営を目指す分権経営、社内情報化武装などを基本とする中期計画を立て、実行してきた。このような経営構造改革によって商社の収益構造の転換は着実に進んだ。このような経営構造改革によって商社の収益構造の転換は着実に進んだ。
2000 一層のグローバリゼーションとITインフラの整備が進んだ。日本経済はアメリカ等の外需に引っ張られ回復するが、2007年以降の金融危機により、再度不況に陥る。 各社は、新しい通信ネットワークとして成長しているインターネット関連に投資の重点を移している。またエレクトロニクス分野への投資は、コンピュータ販売や情報サービスが中心だが、近年の情報化ブームで業容を拡大した投資先が多く、上場および上場準備に入った企業が幾つか出てきている。事業投資は、配当収入の増加等を通じて単独ベースの収益構造改革には一定の寄与を果たしているが、質的側面から見ると、投下資金に対する配当収入額は小さく、まだまだ改善余地が大きい。特に多額の償却損失が発生していることは、商社のリスク管理能力に対する懸念を生じさせている。

そのため今後も商社が事業投資を軸に構造改革を進めるに当たっては、投資リスク管理体制の高度化と、リスクに対する抵抗力の強化が重要な課題となっている。投資リスク管理については、投資決定時・投資後のフォロー・整理撤収の各段階において明確な意思決定ルールを整備するとともに、そのルールをいかに厳格に運用していくかが課題となろう。事業リスク抵抗力の確保については、負債の削減を通じた資本構成の改革など財務体質の強化に向けた対策が求められよう。

年代ごとに商社の業態変化についてまとめたが、結局商社の本質とは何なのか。私たちの見解では、「海外との取引を中心に置きつつも、儲けられそうなチャンスを逃さず、圧倒的な資本力とネットワークで世界を席巻する企業」とも言えるのではないかと考えている。

NEXT>> III.総合商社の仕事内容

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